第6回 ひとはなぜ楽器を演奏するのか?

今回のブログは、ちょっとしたティー・タイムのつもりで軽く読んでいただけるとうれしいです。


「セロひきのゴーシュ」

今回取り上げるのは、宮沢賢治の「セロひきのゴーシュ」というおはなしです。読んだことのある方はたくさんいらっしゃると思います。

チェロ
田舎のオーケストラの団員であるゴーシュが、演奏会を前にして、最初はみんなの足を引っ張るような演奏をしていたのに、短期間で見事に腕を上げ、本番では演奏会成功の立役者になるほどになったその過程のおはなしです。
ゴーシュは、団の練習の後、家に帰ってまたチェロをごうごうごうごう弾くわけですが、そこに毎日いろいろな動物たちが訪れて、いろんな理由でゴーシュにもっとチェロを弾いてくれるようにせがみます。そして結局動物たちに付き合って毎日明け方まで練習する羽目になるのです。
その動物たちの何気ない一言ひとことが、まさに音楽の本質を突いていて、ゴーシュはその激しい練習を通じて開眼し、すばらしい演奏ができるようになるのです。
私は大人になってこのおはなしを読んだとき、子どものときにはわからなかった感動を覚えてほんとうに心がふるえました。音楽のみならず、物事を極めることの厳しさ、難しさ、その深さ、そしてがんばったあとに到達できる高みとひとつの達成感、そんなことが心にストレートに伝わってきたのでした。

ひとはなぜ楽器を演奏するのか?

さて、ひとはなぜ楽器を演奏するのか?ゴーシュのようにプロでなくても、大昔からたくさんのひとが楽器とともに生きてきました。

・楽器がそこにあるから。
・音が好きだから。
・そこに音で表現できる世界があるから。
・その音の中に自分自身をのせて、それを聴いてくれる人たちと音楽を介した時間を共有したいから。

そんなことかもしれないと思います。

楽器の世界コレクションDVDで取り上げる楽器の演奏者の方々は、やはり楽器に魅せられ、厳しい練習と努力を重ねてこられています。その目に見えない不断の努力がすばらしい演奏を生んでいるのだと思うと、感謝して聴きたい気持ちになります。

演奏者さんだけでなく、楽器たちもまた、製作者の想いがこもったものです。そんな、すばらしい楽器と演奏者さんに囲まれたDVDコレクションをぜひお楽しみください。


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